”育てたように子は育つ”
うちの子の話じゃなくて、私の子供頃の話。
”お母さんは、いつ寝ていつ起きているんだろう…?”
せっせと家事をこなす母を見て、いつもそう思っていた。
子供の頃、父方の祖父母と同居していて、今ではめっきり少なくなったけれど、
母と祖母の、絵にかいたような「嫁VS姑」バトルを毎日見ながら育った。
母は祖母から、”一家に主婦は2人もいらない”と言われ、パートに出ていたが、
祖母は近所の人に、”うちの嫁は、家事も育児も私に任せて働きに出ているろくでもない嫁だ”と話していた。
子供ながらに、なんと心無い事を言うのだろうと思いつつも、
そのことで祖母に反抗すれば、母がもっといびられてしまうので、我慢した。
そのため、パートから帰った後の母は、とても忙しかった。
一家に主婦は2人もいらないと言われていたが、食事も洗濯も別。
お風呂は祖父母に気を使いながら、タイミングを見計らって一気に入る。
それが終われば、私や妹の学校の支度を手伝い、お弁当の下ごしらえもし、
私がウトウトする頃に帰って来る父の食事の支度をし、
次の朝、うつろつつろ目を覚ますと、
台所には、化粧も着替えも済んだ母が、もう朝ごはんを作っていた。
”本当にいつ寝てるんだろう…”
いつしか私も結婚し、子供を育てる年齢になった。
上の子は小6で中学受験、下の子は小3で習い事だのお友達と遊ぶだの毎日大忙し。
私はというと、会社こそ徒歩圏内だが、月~金のフルタイム勤務。
自分の母と同じく、仕事場から帰った後のスピード家事といったら、
手品のごとく急がなければ、すぐに0時を回ってしまうだろう(汗)…
下の子が寝支度を終え、布団に入り、主人が自分の部屋へ行くと、
上の子がリビングで勉強を始める。
その間わたしはとういうと、、、
□ 2人分の学校のプリントのチェック
□ 洗濯物をたたみ、次の洗濯を回して干す
□ 明日のシャツにアイロンをかけ
□ 水筒に入れるお茶を沸かしておき
□ お弁当の下ごしらえをし
□ 明日の習い事だの朝練だののチェックをし
□ 時たま主人の相手をし
□ 手は動かしたまま、横目に夜のニュースをチェックし…
ていると、息子がボソッと言った。
”ママさっきからずっと何かしてるね。なんかゴメンね…いつもありがとう”
息子は、小さな頃からとても優しかった。
まだ口もきけないくらい小さい頃に、私が主人と口論になって、布団に隠れて泣いていると、そっと頭を撫でてくれたりした。
ママが泣いているのに動揺して、自分も涙をすすりながら。
今も、受験勉強が大詰めになり、息子もハードな毎日を送っていると思うが、
こうやって日々の私を労ってくれる。
幼き日の自分と重ねると、私は母にこんな優しい言葉は掛けてあげられていなかったと思う。
けれど、母に対する思いは同じだった。
母は、家族のためだけに、毎日を過ごしていた。
今まさに、私は母と同じことをしている。
母が私たちを育てたように。
愛する家族を守り続けたように。
”育てたように子は育つ”
母がくれた無償の愛を、私もまた愛する我が子に、伝えていきたいと思う。